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ジャンクのペルチェ式冷温庫を修理!

開発ブログ/家電・ガジェット/ペルチェ式冷温庫の修理記録
2026.08.04
7分で読了
家電修理ペルチェ冷温庫
ペルチェ式冷温庫の外観(上面)
フリマで購入したジャンク品のペルチェ式冷温庫

概要

ジャンク品のペルチェ式冷温庫を購入しました。電源は入り、ファンも回り、温度表示も正常なのに、まったく冷えない(温まらない)という状態でした。今回は原因の切り分けからペルチェ素子交換、断熱材の復元まで行い、実際に冷却性能が回復したので、その記録をまとめます。

製品

購入したのは、「Mini refrigerator」と書かれている22Lの冷温庫です。
メーカーはPLIOSNとのことですが、製品にはその表記がありません。
車載でも使えるように12V電源が内蔵されていますが、サイズ的に大きいので車にはあまり適していないと思います。モータブル電源からの給電もできるのは、非常時に役に立そうです。

その他のスペックは以下のとおりです。

  • 容量:22L
  • ファン:12V DCファン
  • 寸法:37cm奥行き x 45cm幅 x 48cm高さ
  • ペルチェ素子:TEC1-12703(2枚)

症状

  • 電源は正常に入る
  • 液晶表示・温度設定もできる
  • ファンは正常に回転
  • 冷却・加熱ともにほぼ変化なし
  • ヒートシンクもほとんど熱くならない

一見すると制御基板の故障にも見えますが、順番に確認していきます。

まずは分解

背面カバーを外すと、以下の構成でした。

  • ファン
  • ヒートシンク
  • ペルチェ素子(2枚)
  • 制御基板

ペルチェは40mm角で、型番は TEC1-12703 が2枚使用されていました。
ヒートシンクの中心にかなり進行した錆がついていて、ネジがあるのかどうか判断できませんでした。 ペルチェ素子を使用していると結露が発生するので、その影響でネジが錆びたように見えます。

背面カバーを外したペルチェ式冷温庫の内部
冷却用ファン放熱用ヒートシンク
背面内部の構成。ファン、ヒートシンク、ペルチェ素子、制御基板で構成されていました。

動作確認

まずは通電状態を確認しました。

ファン

正常に回転していました。

ペルチェ電圧

冷却時には約13Vが印加されていました。温度設定を変更すると極性が反転するため、制御基板とリレーは正常と判断しました。

ペルチェ素子の抵抗測定

コネクタを外し、ペルチェ単体の抵抗を測定しました。

  • ペルチェ上:約 11kΩ
  • ペルチェ下:約 20Ω
テスターでペルチェ素子の抵抗を測定している様子
コネクタを外し、ペルチェ単体の抵抗を測定

原因

正常なペルチェ素子(TEC1-12703)は3.88Ω程度くらいで数Ω〜数十Ω程度です。
20Ωは劣化の兆候で、11kΩは内部断線していると判断できました。

交換部品

ペルチェ素子

純正は TEC1-12703 でしたが、金額が高いため TEC1-12705 へ交換しました。今回は2枚とも交換しています。

12705は12703より若干能力が高いモデルですが、サイズは同じ40mm角、厚みを一緒なので問題なく交換できます。 注意すべきは、最大電流が12703より高いことです。 ペルチェ素子が要求する電流が足りなくなる可能性と、基盤が過電流により破損するリスクはありましたが、 リレーをみると最大電流は10Aまで許容できそうでしたので、理論上は大丈夫そうでした。基本的に少し余裕がある設計になっていると思います。 ※12705を使用する場合は基盤のリレー等の最大電流を確認する必要があるので、注意してください。

  • 12703:3A
  • 12705:5A

12705は12703より若干能力が高いモデルですが、サイズは同じ40mm角、厚みを一緒なので問題なく交換できます。

ネジ

ネジは錆びにくいステンレスネジへ交換しました。サイズはM4の15mmで、頭は丸めのものを使用しました。
こちらは通販で買わずに、現物をもってホームセンターで比較するのが一番確実です。

グリス

グリスはPC用のCPUグリスを使用しました。熱伝導性が高く、耐熱性もあります。

組み立て時のポイント

交換時には以下を行いました。

  • 古いグリスを除去
  • 新しい熱伝導グリスを塗布
  • 均等に締め付け

また、元々使用されていた発泡ポリエチレン断熱材と断熱綿シートも、できるだけ純正に近い状態へ復元しました。

この断熱材は単なる固定材ではなく、冷却側と放熱側の熱が混ざるのを防ぐ重要な部品でした。
写真は、断熱材を復元した状態ですが、これだと断熱効果が皆無だったので、少し汚れていましたが、純正のそのまま使うようにしています。

新しいペルチェ素子を取り付けた組み立て状態
新しいペルチェ素子を取り付け、熱伝導グリスを塗布して組み立てる

結露対策

交換後はペルチェ周辺に結露が発生しました。これは冷却性能が回復した証拠でもあります。

一方で、配線の根元にも結露が見られたため、以下の対策を行うとより安心です。

  • 配線の断熱ためシリコンコーキングを塗布
  • 水滴が基板へ流れない配線処理として、気持ち傾斜をつける

また、元のネジは錆がかなり進行していたため、今回はステンレスネジへ交換しました。

動作確認

交換後の結果です。部屋温度29℃で計測しました。

断熱材なし
  • 約10分で 19℃ まで低下
  • 40分後には 14℃~16℃ まで冷却
  • 以降は下がらず
断熱材あり
  • 1時間で12℃ まで低下
  • 以降は9℃ でキープ

ペルチェ素子の交換だけでなく、断熱構造の復元が冷却性能に大きく影響することが分かりました。

今後改善したい点

今回の修理で冷却性能は回復しましたが、さらに改善できそうな点もあります。

  • 放熱ファンの高性能化
  • 放熱側ヒートシンクの強化
  • 庫内循環ファンの追加
  • 水冷化

ペルチェ式冷却は放熱性能が重要なので、放熱側を強化するとさらに性能が向上する可能性があります。 一番やりたいのは、水冷化です。ラジエーター、ポンプ、冷却液で組んだら、どこまで冷えるのか楽しみです。

まとめ

今回の故障原因は ペルチェ素子の劣化 でした。

修理のポイントは以下のとおりです。

  • ペルチェ単体で抵抗測定すること
  • TEC1-12705へ2枚交換
  • 熱伝導グリスを適切に塗ること
  • 断熱材をできるだけ純正構造に戻すこと

今回の修理で、ジャンクだった冷温庫は実用レベルまで復活しました。ペルチェ式冷温庫は構造はかなりシンプルなため、テスターがあれば原因の切り分けもしやすく、修理しやすいです。
ペルチェ素子は壊れやすかったりするので、部品さえ揃えば、自分で修理できる可能性が高いです。
また、ペルチェ素子に電流を流すとかなり熱くなるので、交換の際には注意してください。

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ペルチェ素子の抵抗測定から始めれば、冷えない原因の切り分けは意外とシンプルです。